赤羽(根)の地名の由来
北海道上川郡美瑛町 愛知県田原市

 色の付く地名で赤は、暑さ・暖かさを象徴した太陽の色、火山の火を象徴する炎の色、そして生命力を象徴する血の色などを表しています。赤羽(根)の地名は、赤の名の付く地名でもっとも多い赤坂や赤土、赤倉などと同様の意味と言われています。
 青・黒・白の色名の付く地名で、青森県の青森、東京の青山などの青は、日の出の方向(東)とか、青葉・若葉など芽生えの春を意味していると言われてます。静岡県伊豆市に、青羽根があります。黒岩・黒石などの黒は、暗闇など黒っぽい色のイメージを意味していると言われてます。東北地方の白神山地・中部地方の白山連峰などの白は、黒に対する白で善と考える、神の信仰の対象になっています。また、白石・白川などは色調で黒に対比しているようです。

 地名を調べるにあたって柳田国男氏は、著書「地名の研究」の中で「地名は人のつけたものである。日本の地名は日本人のつけたものである。前住民がつけたとしても少なくもわれわれの採用したものである。新たにつけるのも旧称を採用するのも、ともに人の行為である。すでに人間の行為であるとすれば、その趣旨目的のないはずはない。」と述べられています。
 また、日本の地名は、あて字による変化が多いことで難解だとも言われています。そのため、文字にあまりとらわれず、言葉の発音に注意することが重要と言われていました。

 赤羽(根)という名は、赤埴(あかはに)から出たものといわれています。
 赤には、赤土とか粘土質の土壌で赤く見えるなどの意味があると考えられます。赤土には、土質が粘土質のために赤く見える、または鉄さびのために赤く見えるのかの二通りあります
 羽(根)は、埴(はに)の転化で羽生の文字が当てられました。この羽生(はにう)とは、埴(はに)・生(ふ)で粘土のあるところ・火山灰が堆積して出来た粘土質の土地をさします。日本は火山国なので関東ローム層などの火山灰の赤土が多くあります。
 それ故、赤羽(根)の地名は、表土の黒土層が薄くて風で吹き飛ばされたり、雨で流されたりして赤土の層が露呈した、赤土の粘土質の台地に名付けられた地名だと言われています。

 この赤い粘土質は、今でも「ねば土」とか「ばね土」とかいわれています。「赤いねば土」は昔は陶器の好適な材料であったし、特別に色の良いものは衣服に擢りつけて 「丹擢の衣」ともしました。赤はにの産する所は、古代人の生活と多くの交渉をもっていました。
 赤土を陶器の材料にした赤羽焼の窯跡が長野県上伊那郡辰野町赤羽にありました。

 愛知県新城市高松赤羽根の地名のいい伝えでは・・・、昔、このあたりに赤牛が住んでいて、滝つぼで水浴したり草原で草を食べているのを見かけることがありました。あるとき、この牛に大きな赤い羽が生え、舞い上がると雁峯山を飛び越えて南の空に消えてしまった。それ以来ここを「赤羽根」と呼ぶようになったと伝えられて います。
 この赤牛は渥美半島まで飛んで行って下りたので渥美にも赤羽根というところがある・・・と伝えられています ( 作手村誌 ) 。平畑地内には「赤牛の滝」と呼ばれる場所もあり、赤牛は珍しい神様のような存在だったのでしょう。

 赤羽を探し歩いていると、現在「赤羽」と書く地名に、以前は「赤羽根」と書かれていた所もありました。東京都北区赤羽は、明治の初めの頃に赤羽根から赤羽に変わりました。
 「赤埴」から「赤場根」・「赤羽禰」そして「赤羽」・「赤羽根」に移っていきました。
 埴(はに)は、「波根」、「葉根」と同じ粘土地を表わしています。それが書きやすい「羽」、「羽根」に変わっていったのでしょう。

 訪れた赤羽(根)の読み方は、「あかばね」が一番多く、「あかはね」、「あかば」もありました。

「あかはね」には、・・・新潟県五泉市赤羽長野県上伊那郡辰野町赤羽長野県岡谷市赤羽

「あかば」には、・・・兵庫県神戸市西区伊川谷町潤和赤羽

地名が、人名から付いたところ、伝説(いい伝え)があるところもありました。

人名から、地名になったところ・・・北海道上川郡美瑛町赤羽

地名のいい伝えがあるところ・・・岩手県遠野町赤羽栃木県栃木市藤岡町赤羽埼玉県北足立郡伊奈町小室赤羽


 赤羽・赤羽根は、赤埴から転化したものといわれていますが、現在も赤埴と書いて「あかばね」と読む所が奈良県宇陀市榛原にありました。
 平城京は奈良時代の日本の首都でした。大化の改新のあと、京を中心として四方にのびる幹線交通路、七道(山陽道、東海道、東山道、北陸道、山陰道、南海道、西海道)が整備され、都と地方が結ばれて、文化、伝統、言葉も全国に広がっていったのでしょう。

 地名を図書館で調べたり、その土地に住んでいる人達に話を聞くと、その土地の地理・歴史・風土・経済など地域の社会的な問題と密接に意味をもつ地名があることが分ります。
 そしてそれらの地名の意味が、今まったく解らないものもたくさんあります。しかしそれでも知りたいと思うのは、私達の先祖が名付けたものであり、それによって昔のその土地の生活ぶりを理解するのにたいへん役立つからです。


参考文献
 角川書店 地名の研究 柳田国男
 築波書林 地名を訪ねて
 新人物往来社 別冊歴史読本 日本の地名
 随想舎 栃木の地名を探る
 那須文化研究所 那須野の地名
 愛知県新城市作手村誌

赤羽・訪問リスト

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